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Posted by 月 - 2009.12.01,Tue
ミクシより転載。
続きよりAHMのドリパー小話になります。

 

手を見る。

何の変哲もない、昔から変わることのない自分の手だ。
だがそれは見た目の話であって、実際には大きく変わった。

少し前までこの手は科学者の手だった。
試験管を握り、精密機械に向かい様々な研究を行った。

デストロン軍との戦いは続いていたが
自分は科学者であり続けることができた。

それも全ては同じサイバトロン軍の皆が戦ってくれていたからだ。

デストロン軍との戦いで傷ついた仲間をリペアも行った。
滅多に戦わない自分だがせめて皆の手助けになればと思った。

だが…今の自分の手はなんであろう?
科学者では無くなってしまった…いや、自分から捨てた。
いまやこの手はスナイパーの手だ。

過去…仲間の救出作戦中に襲撃され、機能停止一歩手前まで追い込まれた。

あの時の恐怖が忘れられない。
胸を、顔を打ち抜かれた時、もう自分はここで終わりなんだと思った。

だが実際には自分はドリフトに助け出され、回復することができた。
助け出されなくては自分は間違いなく機能停止していただろう。

その事実に恐怖が走った。
またいつかこのような目に会うかもしれないと…
今度こそ駄目かもしれないと…

それからはもう止められなかった。
仲間の制止に耳を貸さず、只管自身の改造に打ち込んだ。

もっと強化しなくては、こんな薄い装甲ではもたない。
こんなアイセンサーもいらない。潰してもっと高性能のものを造ろう。

そうして今の自分ができた。
その事に対して後悔は…ない。

だが、一時考えてしまう時がある。
自分はこれで本当によかったのだろうかと…

特にこういう時だ。ブラスターが負傷した。
デストロン軍の攻撃により右腕を切断、
サウンドシステムも故障してしまっている。

以前の自分ならリペアを施してやることができただろう。
だが今の自分は狙撃に特化し過ぎた。
簡単なリペアならできるが科学者の頃のように
本格的な技術は狙撃能力特化の為に不必要と判断し取り除いてしまった。

今ブラスターはポッドに入れられ、リペアを受けている。
完全に直るという事だったから心配はしているが大丈夫だろうと思う。

だが…だが、もし、自分がこのような形になっていなかったら…?
もっと早くブラスターを直す事ができるかもしれない。
彼だって言っていた。『君の仕事?それは科学者だろう。スナイパーではない』と…

やはり自分は後悔しているのだろうか………?

 

*

 

「パーセプター!」

カツ、と肩を叩かれ、はっ、と気が付く。
驚いて叩かれた方を見ればドリフトが心配そうな顔でこちらを窺っていた。

どうやらと手を見つめた体制のまま固まっていたようだ…

自分の現状を省み、これではいけないと表情を取り繕い、
何でもないような素振りでドリフトに機体を向け微笑みかける。

「あぁ…君か、ドリフト。…どうかしたか?」
「どうかしたかも何も…いや、ブラスターのリペアが終わってな。
そろそろ次の作戦の会議を開くというんで呼びに来たんだ。」
「そうか…態々すまないな。さぁ行こうか?」

基地に戻る為にドリフトの横を通り過ぎる。

気持ちを切り替えなくては…いつまでもうだうだと考えてる場合ではない。
状況は決して良いとは言えない。寧ろ劣勢だ。
今だって幾度となく襲ってくるインセクティコンの群れから逃れ、
皆疲れ切っている。いつまでもここにいるべきではない。

早く…早く…

ガッ!

「!!……?なんだい?早く戻らなくてはならないんだろう?離してくれ」
「あぁ、早く戻らなくちゃ駄目だ。
だが…今のままのお前を放っておくわけにはいかない」
「なにを言って…」

彼が私の腕を掴んで引き寄せる。
彼の手は武士の手だ。敵を切り裂き、味方の活路を導く。

その手が自分を掴む。仲間をリペアする事も出来ない不甲斐ない手に…

その瞬間物凄い嫌悪感が沸いた。気が付けば反射的に彼の手を振り払っていた。

ガチンッ

「っ!?…………ぁ、す、すまない、な、何でもないんだ…」
「…………」

無言でこちらを見ている彼に目を合わせられない。
嫌悪感で吐き気がする。オイルが込み上げてくるようだ。
この嫌悪感は彼に対してではない。自分に対してだ。

ぐるぐると思考が回る。まだこちらを見てくる彼の目線に耐えられない。
もう駄目だ、私は何をやっているんだ。こんなことをして何の意味がある?
こんな考え捨ててしまうべきだ。そうだ今度はブレインサーキットを改造しようか…

「パーセプター。何を後悔している?」
「!!…何を言うんだい?ドリフト。私は後悔など何も…」
「………大丈夫だ」

彼が私の手を掴み、そのまま後ろに回り込んで肩に顎を乗せてくる。
ぎょっ、として離させようとするががっちりと掴まれてしまい離してくれない。
そのまま彼は私の掌に手を這わせ、広げた指の間に指を絡ませる。

そのまま指一本一本をまるで労わるように優しく撫でてくる。

「後悔することなどないさ。俺はお前が科学者だった頃のことは知らないが
今のお前だって十分に皆の…俺の支えになっている…胸を張れ、パーセプター。」
「…いいのだろうか?私は…」
「おっと!それ以上言いなさんな。言っただろ?…この手は仲間を救う手だ。
例え形は違ってもな。俺の背中を守ってくれる大事な…そうだろう?」

彼が私の指先に口付けた。びくっ、と肩が震える。
それを見て彼はニヤッと意地悪そうな笑みを浮かべた。

揶揄われているな…

だが、その行為に肩の力が抜けた。
気持ちが軽くなる。今のままでもいいのだと思えた。

「そうかな?」
「そうさ。」

そうだな…きっと…そういうことなんだろう。
今の自分にできる事、できない事、それを全て受け止めよう。

自分にはこうして共に戦う仲間がいる。
守りたい存在がいる。

「…行こうか?」
「あぁそうだな、行こう」


自分は後悔しない。
決して。

 

 



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