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Posted by 月 - 2011.08.28,Sun
「転化」の続編的な物。
年齢操作有り。
捏造五、六年生注意。


大丈夫な方は以下、続きを読むより














 長月の半ばを過ぎた頃、朝晩は襦袢一枚では肌寒さを感じさせるようになった。
 学園内を彩る広葉樹はそろそろ深緑から赤や黄色に色付き始め、学園内に毎日のように響いていた蝉の声は段々と少なくなり、今では蟋蟀が毎夜忙しなく鳴いてた。





【憧憬】





 本の貸出作業は、簡単なようで案外気を使う。
 誰が何を借りたか、何時返したか、返すべきか。または、借りたい書物はあるか、それは今どこにあるか。それを帳簿と照らし合わせながらの作業は、図書委員になり半年が経とうとしている今でも梃子摺る時がある。

 三年生の先輩が借りた書物を手に図書室を出たところで、図書室の中には僕と委員長だけとなった。
 改めて部屋を見渡せば、部屋全体が薄暗く感じられた。光を嫌い、空気を入れ替えるための窓が一つだけというこの部屋は外より暗くなるのが早い。今の明るさなら、外は日が陰ってきたところだろうか。この時刻になると図書室にやって来る人は珍しくなるため、これで一区切り着いたと思っていいだろう。
 ふぅ、と一息着くと思い出したように身体に痛みを覚え、凝りを解すようにぐっ、と背伸びをする。肩と腰が痛かったが特に音が鳴るわけでもなく、ぐんっと伸びた筋がやっと解放されたと痛気持良さを伝えてきた。
 伸びてすっきりしたところで、もう一度溜息を吐くと、ぽんっと軽く肩を叩かれびくりとする。

「お疲れ長次、今日は多かったなぁ」
「っ……! 委員長、後ろから声、掛けないでください」

 油断していたところを不意に後ろから声を掛けられた上に、肩を掴まれて驚いてしまったが、委員長は悪びれる事もなく悪い悪い、と軽く謝ると僕の頭をぽんぽん、と撫でた。……ここ半年で気が付いたが、委員長は何かと下級生の頭を撫でる。一年生である僕を筆頭に、下級生であれば例え五年生であろうと同じように撫でるのだ。同じ図書委員の五年生の先輩など、苦笑しながらも慣れた様子で受け入れており、それが二人の付き合いの長さが感じられた。

「まぁそう怒るなって長次。簡単に背後を取られるお前が悪い!」

 びしっ、と巫山戯半分ではあるが、指摘された内容にぎくりとする。
 確かに相手は六年生とはいえ、委員長が後ろに居る事に気が付けなかったのは自分の不注意だろう。少なくとも、自分は図書室には委員長しかいないと分かっていたのに背後を取られたのだから、それはもう失態としか言えないのではないだろうか。

 鬱々と考えを巡らせていると、こつん、とした軽い痛みが降ってきた。
 はっ、と顔を上げればそこには委員長が拳を握りつつも、緩い笑みを浮かべていた。

「こら、長次。真面目に落ち込むな。冗談だよ。第一、一年生であるお前に気配を悟られるようじゃ、俺の方が落ち込んじまう」

 委員長はやれやれ、と肩を竦めるとまたしても頭を撫でてくる。少し恥ずかしくもあったが、それ以上に撫でる手が心地良かったので俯きながらもされるがまま、その手の暖かさを味わった。
 慣れた調子の手付きは、やはりどこか慈愛…というべきか、そういったものが感じられる。

 その感触を味わっていたところ、廊下からどたどたと音を立てて走る足音が響いてきた。
 何事かと戸に目を向け、五月蝿さに眉を顰めた。この学園でこんなに荒々しい足音を立てる者は、大概三年生までの下級生に多い。まだまだ落ち着きがないからだろうか。例に漏れず、聞こえてくる足音は荒々しくも軽く、僕と同じ一年生か二年生と言ったところだろう。
 その足音はこちらに向かってきている。

 まさか、小平太だろうか。
 あながち外れてもいなさそうな友人の姿が思い浮かんだところで、がらっ、と荒々しい音を立てて戸が引かれた。

「ほっ、本! 借りられますかっ!?」

 そこに居たのは小平太……ではなく、同じ一年生の食満留三郎の姿。
 留三郎は、はぁはぁと落ち着きなく呼吸を繰り返しており、やはり先程の足音は留三郎だったのだろう。

「留三郎……廊下を走るな……」
「長次、わり、ちょっと急いでてよ」

 留三郎は顔の前で手を立てて謝るが、あまり悪びれてはいないようだ。
 まぁ、特にそこまで怒ることではないので、僕も呆れたような姿勢を見せるだけに留めた。

「それで食満、何の本を探しに来た?」
「忍者武器の詳しい本があればそれを……今日の宿題で必要なんです」
「あぁ、今日は一年は組の子たちがそれ関連の本借りてたっけなぁ……ふぅん……」

 おや、と思った。
 委員長、あまり機嫌が良くない。

 普段はにこにこと穏やかな笑みを浮かべている事が多い。
 そしてそれは、例え怒っている時でもその笑みは浮かんでいるのだが、やはりと言うか、機嫌が悪い時の笑みはどことなく普段の笑みとは違って見えるのだ。何が委員長の琴線に触れたのだろうか……と成り行きを見守る事にする。

「それで、本を借りたいと言うわけだな?」
「はい、ありますか?」
「勿論ある。あるが……食満、この前借りた本が返却されてないが?」
「……げ」

 委員長の言葉に留三郎もやっと機嫌が悪い事に(それも自分の所為)気が付き、一瞬で顔色を青ざめさせると踵を返して走り去ろうとするが、委員長はそれより早く懐から縄鏢取り出し、投げ放った。
 委員長の縄鏢捌きは学園一と言われるだけあって、見事な調節で放った縄鏢は留三郎の足に絡み付き、留三郎は体勢を保てずに顔から床へ激突した。
 びたんっ、と痛そうな音が響き、思わず目を瞑ってしまったが、留三郎はすぐに起き上がると赤くなった鼻を抑えて痛みを訴えているが、特に鼻血も出ていないようだし、派手な音の割に鼻や額が赤くなった程度で怪我はないように見えたので平気だろう。

「食満? 何を逃げようとしている?」
「ぎゃあっ! ……ひっぃいいいい!」
「うんうん、分かっているさ。食満は今部屋に借りっぱなしだった本を取りに行こうとしてたんだよな? 間違っても逃げようとしてたとか、借りた本も返さずに更に借りようだなんて思ってないよなぁ?」
「そうです! その通りです! お願いですから放して下さいー!」

 それよりこっちの方が大丈夫ではなさそうだ。
 委員長は笑みを浮かべながら縄を手繰り寄せ、ずるずると少しずつ引き寄せているさながら蜘蛛か蟻地獄が獲物をじわじわと引き寄せているかのようだ。留三郎はほぼ泣きが入っている。

 ここ数ヶ月でやっと気が付いたが、委員長は優しそうに見えてかなり癖のある人物だ。優しそうに見えて怒りっぽい、世話焼きに見えて世話を焼かれる方、笑っているようで内心はそれだけではない等、僕が気が付いてないだけで他にもたくさんあるのではないだろうかと思う。
 とにかく、怒った委員長は怖い。相手に問いかけるような話しぶりなのに、その内容は逆らう事を許さない凄味がある。

「うんうん、だよなぁ。それじゃ縄解いてあげるから、必ず借りた本を持ってくるんだよ」

 留三郎が声もなくこくこくと頷いている事に満足したのか、委員長は漸く縄を解いてやった。
 すると解くやいなや留三郎は脱兎の勢いで図書室を出て行く。
 哀れな……と思いつつも、本を返却しない留三郎が悪いので、それはそれとしておいた。
 委員長は留三郎が出て行ったのを確認すると、しゅっ、と言う音を立てて縄鏢を巻き取る。
 その動作は慣れたもので、委員長がどれだけ縄鏢の扱いに慣れているかが窺えた。
 委員長が扱う縄鏢は、長い縄の先に棒手裏剣を括り付けたもので、鏢を投げて武器にしたり、人や物を捕まえるための道具にもなるが、得てして扱いがとても難しいらしい。
 しかし、委員長はそんな扱いの難しい縄鏢も難なく扱ってみせる。
 指先から放たれた鏢は目鏢に向かって真っ直ぐに届き、瞬時に捕える。そして、ひと度腕を振るえば、鏢は生きているかのごとく委員長の掌に戻っていく様は、まるで委員長にとって縄鏢は指の延長線、第二の手であるかのようだ。

 委員長の腕前を見て、そう言えば前に小平太が委員長に縄鏢で捕まれられた事を思い出した。
 小平太と仲直りした後、僕たちは以前よりよく遊ぶようになった。
 その日も僕に会いにやって来た小平太は、またどこかで遊んだのか、体中泥塗れにして図書室へと入ってきた。
 どたどたと勢い良く駆け寄る小平太が一歩進む毎に床にはぐちゃぐちゃとした足跡が着いて、服からはぼろぼろと乾いた土が零れ落ち、本の整理をしていた僕に向かって伸ばされた手も同じく泥で汚れていて、流石に制止したのだが小平太は構わず向かって来る。せめて本を置かせて欲しかった、と軽く恨みながらも小平太を待つ体勢を取った次の瞬間、小平太の身体に縄が巻き付き、そのまま窓の外へぽーんと弧を描いて飛んでいったのだ。
 あまりの展開に呆然とすれば、委員長がいつも通りの笑みを浮かべながら―

「土足、汚れは厳禁だぞ?」

 と賜ったのだ。
 あれは委員長の腕もさることながら、委員長の恐ろしさを初めて感じたものだ。

「長次? どうかしたか?」
「ぅわ……!」

 一人心内で思い返していれば、何時の間にやら委員長が顔を覗き込んでいた。
 毎度の事ながらも驚いてしまうのは自身の未熟さか、それとも委員長だからだろうか。

「人の顔見て、うわっとはなんだ失礼な! まぁそれはいいとして、どうした?」
「ぁ、いえ……その、委員長は、縄鏢の扱いに長けていらっしゃると、思いまして」
「ん? あぁこれか。そうだなぁ、自分で言うものではないけど、学園一の腕前と言ってもいい!」

 謙遜する前振りの割りには自信に満ち溢れているが、事実なのでそこは気にしないことにしよう。
 委員長は、ふむ、と顎に手を当てて考える素振りを見せたかと思うと、先程委員長が使っていた縄鏢とは別の物を取り出して、それを渡してきた。
 不思議に思いつつも、興味があったそれを渡され、僕は矯めつ眇めつと縄鏢を眺め、縄や鏢に手を這わせて感触を確かめた。固い筈の縄はどこか柔らかく、良く手に馴染む。委員長が使い込んでいるからだろうか。先の鋭い鏢も、錆や不自然な握り心地の悪さがなく、まるで僕自身が長年使ってきた物のように手に馴染んだ。

「……どうだ長次、その縄鏢は」
「はい……何だか、凄く、手に馴染みます。委員長が丁寧に扱ってきた証、でしょうか」
「ふぅん、やはりな……そうだなぁ、それもあるだろうけど……長次、それをお前にやろう」
「え……」

 何の冗談ですか、と突然の委員長の言葉に驚いて上を向けば、そこには予想していたような表情はなく、至って真剣な表情の委員長が居た。

「長次は縄鏢上手く扱えるようになると思うんだ。まぁ、俺の勘だけどさ。……縄鏢には興味ないか?」
「いえっそんな事は……! ただ、興味が、あると言いますか……これで、小平太捕まえられたら、楽そうだなぁと……思った事なら」
「っ、ぶっ……! あっはっはっはっは! そうかそうか!」

 真剣な表情が一気に崩れ、腹を抱えて笑う委員長に、少し羞恥が浮かんだ。そんなにおかしいだろうか。小平太を捕まえられるようになれば、かなり楽になると思うのだが。

「ふ、ふふっ……まぁいいさ。お前は手が大きいからなぁ。いっぱい食べて動けば絶対大きくなるぞ。そうなったら縄鏢も扱いやすくなって、お前に合うようになるだろう。武器は扱えるものが多い方が良い。今のうちから少しずつ慣れておけ」
「委員長……はい、ありがとうございます……!」

 委員長がそこまで考えて僕にこの縄鏢をくれた、ということが嬉しく、僕は何時になく興奮した。
 何より、なんだかんだと言いつつ、いつも僕の手助けをしてくれている委員長のお下がり、と言うことがまた嬉しかったのだ。

「いいか長次、鏢は危ないから慣れるまでは使うなよ。まずは重りを使って慣れる事から始めるんだ。後で俺が昔使ってたやつをやるから、その鏢は仕舞っておけ。少なくとも一年の内は鏢を使うのは禁止だ。まだ身体が出来てない、手足の短い内だと縄を扱うのも難しいんだ。鏢なんてついてたら、いつ鏢がぐっさりと刺さるか分かったもんじゃないからな、いいな?」
「……はいっ!」

 委員長の真剣な言葉にこくりと頷いた。手に持った縄鏢が熱い。いや、これは僕の掌が熱いのか。少なくとも僕は僕の思った以上に気分が高揚しているらしい。

「よぉしっ、良い返事だ! それじゃ、早速使い方を教えてあげよう! 図書室閉めるぞ!」
「! はいっ……!」

 そう言うやいなや、委員長と二人、図書室に鍵を掛けると外へ飛び出して行った。
 初めて自分だけの道具となった縄鏢を携えて、委員長の後を追う。
 もう寒いと思っていた、夕闇が迫る外を熱い身体を抱えて、ただ委員長の『背中』を追った。



*



「閉まってる……本……しゅくだいぃ……」

 ぴしゃりと閉じられ、開けることができない戸の前で、絶望したように呆然と佇む留三郎が五年生の図書委員によって発見されたと、後日聞いた。
 ……やはり、思った以上に僕は興奮していたらしい。










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長次は委員長に憧れを抱いているといいな、と思って。
初めての先輩。優しくて強くて頼りがいがあって……となれば憧れも一入かな、と。
まぁそんな捏造先輩書いてんのは私ですけどね!
乱太郎たちと同じく、長次たちだって過去には六年生たちを尊敬して二年生と喧嘩して……って事が
あったっていいと思うんだ。ただし長次と雷蔵は例外で頼む!( ー`дー´)
けど長次VS三郎なら見たいです!

縄鏢って、実際どうなのでしょうね。
原作・アニメも場面によって長さが変わっているのですが、
見た感じだと短くても約三メール、長いと数十メートルはありそうです。
長さは自分で調節して複数作っておき、場合によりどれを携帯するか決めるのかなーと想像してます。

また、留の事を長次は完全に忘れてました。委員長は……さぁてどっちでしょう?
留は五年生の図書委員に発見されて無事、本を借りる事ができたそうです。

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