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Posted by 月 - 2011.06.26,Sun
SS上げるの実に半年以上ぶり。
今回は忍たまで、こへちょ竹中心のような一はトリオ中心のような定まらない感じです。
こへちょ竹好きだー! の気持ちのままに書き散らしてみました。
そんな駄文ですが、見てやるよ! っていうお方は以下、続きを読むより












【ある日の逃走】


 幾重にも重なる木々の隙間を縫って、零れる光が瞬きを繰り返す。
 初夏のやや強い光も幾分和らいで地面を包み、心地良い暖かさを生み出していた。
 その心地良い温もりに身を任せ、うとうとと微睡む者たち。

「い~い天気だねぇ……」
「ぽっかぽかぁ~」
「絶好の昼寝日和ってもんだ」

 一日の授業が終わり、乱太郎、きり丸、しんべヱは広大な学園の片隅で、のんびりと身体を伸ばしていた。今日は乱太郎たちが所属する委員会も無ければ、土井先生からの呼び出しもない。自由な時間だ。

「今日これからどうするよ?」
「うーん……」

 このままのんびりするのもいい。それとも学園の外にお団子でも食べに行こうか。
 何時もなら開口一番にしんべヱが食べに行こう! と涎を垂らしながら言うのだが、今日ばかりは食い気より眠気なのだろうか? どちらにしようかと、珍しく迷っている。

「おい、乱太郎、きり丸、しんべヱ」

 そんな三人の視界に、逆さまの顔が覗いた。

「あ、伊賀崎先輩」
「「「こんにちはー」」」

 逆さまに映るその人は、何時も毒蛇のジュンコを首に巻き付け、澄ました顔をした三年生の伊賀崎孫兵。ところが今はジュンコは居らず、秀麗な顔には焦りの色を浮かべていた。
 孫兵は挨拶の代わりなのだろう、こくりと頷くだけに留めると、もどかしそうに口を開く。

「お前たち、小太郎を見なかったか?」
「小太郎? 誰ですか?」

 小太郎、と言う名前としては馴染み深いが、全く顔の浮かばない誰かに、乱太郎たちは揃って首を傾げた。

「小太郎は狼の仔だ! 見なかったか?」
「おおかみ~~!?」

 狼、という言葉に三人の脳裏に鋭い牙と爪を持つ狼が、飛び襲いかかって来る想像をし、背中に怖気が走る。
「狼とは言ってもまだ子供だ。
それに、学園で生まれた時から育てている仔だし、むやみに人は襲わない……と思う」
「思うって……それでその、小太郎がどうしたのですか?」
「あぁ……実は、訓練中に逃げてしまったんだ」

 孫兵は半ば涙を浮かべながら咄々と語った。



*



 孫兵の話によるとこうだ。
 孫兵は仔狼の小太郎に、音に慣らす訓練を行っていたらしい。
 音に慣らす訓練とは、小さな音を聞き分けて主に伝えたり、大きな音に取り乱さないよう慣らすことを主に指す。その時は平静を保つための訓練として、火薬を爆発させ、慣らす訓練をしていた。
 その訓練を受けるのは初めてだった小太郎は、爆発が起きる度に逃げようとしたが、孫兵は辛抱強く、少しずつ慣らしていった。

 ところが、そこで予期せぬ事が起こった。地面に盛った火薬から伸びた導火線に点火した途端、足元が急に波打ち、いつの間にか孫兵の視界に映るのは地面ではなく、晴れ渡り水色に澄んだ空だった。
 突然の展開に混乱するも、さらに立て続けに凄まじい光と爆音が走り、身体が強引に引っ張られ、今度は誰かに抱き抱えられてた。誰だか確認しようにも視界が真っ黒に塗り替えられ、それも叶わない。

「危なかったな~! 伊賀崎、怪我はないな?」

 火薬の腐卵臭が土の臭いに混じり鼻を突く中、聞き覚えのある声に吊られて顔を上げれば、そこには六年生の七松小平太が居た。何故こんな状態なのかぐるぐると思考を巡らせるが、自分でも気づけぬ程この状況に頭が回っていないらしい。固まったまま、ただ小平太を見上げるだけだ。

「伊賀崎? おーい?」

 目の前でひらひらと降られる手に、漸く思考は一点に定まった。

「七松先輩? ここは……」
「塹壕の中だ、いやーすまんなぁ。塹壕掘りをしていたのだが、出たところが丁度お前の真下だったようだな! すまん!」

 成程、視界がいきなり暗くなったのはこのためか。
 からからと笑う小平太は本当に悪いと思っているのか謎なところだ。
 思考が動き出し、状況を飲み込もうと周りを見渡す、塹壕……と言うよりこれはもはや隧道だ。一体何処から掘り進んできたのか、奥はここよりも更に暗く、一点の光もない。こんなところを明かりもなく進んでくるとは、七松先輩は一体どういう神経をしているのだろう。それともそれこそ六年生であるが故だろうか。
 そういえばジュンコは……そうだ訓練をするから置いてきたのだ。まだ慣れない仔狼の前に蛇を連れていくのは双方にとって悪い。……? ……!

「小太郎! 七松先輩小太郎、いえ、狼の仔はどうしましたか!?」
「狼? 私は見ていないが……」

 七松先輩の言葉に蒼褪め、慌てて塹壕から飛び出す。
 何故今の今まで忘れていたのか、辺りを見渡すが小太郎は何処にも見当たらない。血もない。
 と言うことは、爆発に巻き込まれた可能性は低いはず……
 激しく心臓が脈打つのを感じつつ、小太郎を何度も何度も呼ぶが、いくら待てども小太郎は姿を現すことはなかった。


*



「はぁ、なるほど……」
「僕たち、授業が終わってからずっとここにいましたけど、見てないですねぇ」

 そうか、と孫兵は肩を落とした。一体何処に行ってしまったんだろう、と落ち込む先輩の姿に乱太郎は慌てて自分たちも手伝いますから! と孫兵を慰める。

「私たちも手分けして探しますから、ね? 小太郎もきっと伊賀崎先輩と会えなくて寂しがっていると思いますよ。だから早く見つけてあげましょう」
「おい、乱太郎! 俺嫌だぞそんな……」
「きりちゃん? ちょっと静かにね?」

 乱太郎の有無を言わせない雰囲気に、きり丸は無言で頷いた。後ろでしんべヱが聞こえないように乱太郎怖い…と薄ら涙目になる。

「乱太郎、ありがとう。そうだな、小太郎もきっと寂しがってる。乱太郎、きり丸、しんべヱ、もし小太郎を見かけたら僕か竹谷先輩か七松先輩に知らせてくれないか?」
「「「わかりました~」」」

 孫兵は気合を入れるように拳を握りしめると、先輩たちも探しているから、とだけ告げると早々に去っていった。



*



「なぁ、乱太郎……本当に手伝うのか? ヤだぜ俺。ゼニにならないことはしない主義なの! 第一、子供って言っても狼だぞ狼!」
「まぁまぁきりちゃん……伊賀崎先輩が大丈夫って言ってたじゃない。それに僕たち暇だし……ね?」
「え~……」

 きり丸は顔を歪めて不満を表すが、乱太郎の顔を見ると、逆らい難い気持ちが湧いてきてしまう。
 はぁ~、と深く深く溜息をつくと渋々と頷いた。

 ったくしょうがねぇな!今回だけだかんな!
 さっすがきりちゃん!

 賑やかに笑い合う声が響く。
 ふと、不意に背後の藪が不自然に音を立てた。
 藪の奥から段々と大きく、近くなる音に乱太郎たちも気が付く。

「え、何?」
「何か近付いてくるぞ……」

 何かが来る。
 乱太郎たちは足を滑らせてじりじりと後退した。
 誰かがごくりと喉を鳴らしたが、藪の音に上塗りされて二人に聞こえることはない。
 それよりも不自然に揺れる藪の方がよっぽど気になるというものだ。

「もしかして……小太郎?」
「え、え、どっ、どうしよう!?」
「いいから落ち着け! 下手に動いたら危ないかもしれないだろ!」

 たじろぐ乱太郎たちの前に、がさりという音とともに音の正体が姿を現した。

 一見するとその獣は狐にも見えた。
 しかし、狐にしては少々大きい体躯と、腹の底が痺れるような低い唸り声がそれを否定する。

「狐、だよねぇ~……あはは」
「乱太郎、ありゃ狼だ、しっかりしろ。きっと小太郎だ」
「なんか怒ってる~?」

 おそらく小太郎であろう仔狼は、孫兵の言った通りまだ子供なのだろう。狼にしてはやや丸みを帯びた体躯に、白味を帯びた赤茶けた体毛は綿のように細く柔らかく、そこだけを見れば随分可愛らしい。
 だが、そんな幼い印象とは裏腹に、仔狼の体躯はしんべヱより少々小さいぐらいだ。姿勢を低く保ち、乱太郎たちを睨め付ける。唸り声とともにめくれ上がった吻から覗く歯は、仔狼とはいえ鋭い。乱太郎たちのような小さな身体など、一溜まりも無いように見えた。
 乱太郎たちは、自然と互いを抱くように寄り添い合う。
 仔狼は次第に藪から全身を現すと、ますます唸り声が酷くなる。今にも飛びかからんばかりの勢いに、乱太郎たちはただ青ざめるしかない。
 仔狼の足にぐっ、と力が入ったのが分かる。
 乱太郎たちは息を飲み、ぐっと目を瞑って無意識に身体を強張らせた。

 くる……!
 もう、駄目かと思ったその時。

 くぅん……

 仔狼が、なんとも気の抜けた鳴き声を発した。
 え、と乱太郎たちも気の抜けた声が漏れ、目を開ければそこには、牙を覗かせ、襲いかからんばかりの仔狼の姿は何処にもなかった。そこにはまるで別物と思える程に幼い顔をした仔狼が一匹いるだけだ。

 仔狼は腰を下ろし、正しく待ての姿勢をすると、なんとも不思議そうに首を傾げて見せた。

「おぉい、乱太郎、きり丸、しんべヱ! 大丈夫だったか?」
「「「竹谷先輩!」」」

 仔狼の変貌に身を寄せ合ったまま呆然としていた乱太郎たちの表情がぱっ、と明るくなる。声の主は五年の竹谷八左ヱ門。八左ヱ門は乱太郎たちの頭をぐしゃぐしゃと撫で回すと、もう一度大丈夫だったか? 心配そうに見やった。

「はい、大丈夫です!」
「竹谷先輩、この狼が小太郎っすか?」
「先輩! 小太郎はなんでいきなり大人しくなったんですか~?」

 次々と出てくる応えに八左ヱ門は元気だな~と笑うと、手に持っていた縄を手際よく仔狼に巻きつけた。
 よし、とひとつ頷くと、仔狼の吻をくしゅくしゅと掻いてやる。仔狼は気持ちよさそうに眼を細め、小さな耳を寝かせた。

「三人ともごめんな、小太郎が迷惑かけた。きり丸の言うとおり、こいつが小太郎だ。ちょっと怖がりでな、いきなり吃驚させられた上に迷子になっちまったもんだからちょっと気が立ってたんだ。あと、小太郎が大人しくなったのは俺の力量ってとこかな!」

 詳しくは内緒だ! と人差し指を立てて笑う。
 小太郎はすっかり落ち着いたのか、幼い真直な眼差しで八左ヱ門を見ている。それはまるで、狼と言うより飼い主の挙動が気になって仕方ない犬のようだ。

「それじゃ、俺はこいつを飼育小屋に連れて行くから。本当ごめんな!」

 そう言うと八左ヱ門は小太郎を連れて去っていった。
 乱太郎たちはそんな八左ヱ門と小太郎にキラキラと感心の眼差しを向ける。

「何をやったのかは分からないけど……」
「竹谷先輩って、凄いんだねぇ」
「「「かっこいー!」」」

 乱太郎たちの歓声が空を染めていった。



*



 薬草、毒草、野野菜にヤブツバキ。
 様々な植物が生い茂る菜園は全てが薬であり、食物であり、道具だ。菜園にある全てが学園に住む者たちの糧となる。その中を、八左ヱ門と小太郎が歩く。小太郎は八左ヱ門をちらちらと覗い、歩調を合わせて進む。傍からみると、犬の散歩そのものだ。

「竹谷、見つかったのか! そうだと思っていたぞ」
「七松先輩……、あれ中在家先輩もご一緒ですか?」

 元気な声に顔を上げれば、枝から小平太が着地する。枝葉ひとつ揺らすこと無く降り立つのは、さすがは六年生と言うべきか。しかし、言動は落ち着きなくその差に八左ヱ門は苦笑を漏らした。
 続いて小平太の後ろから、同じ六年の中在家長次が降り立った。何時も通り不機嫌にも見えるがその実、内心は全く穏やかなもので、寧ろ不機嫌そうに見えるほど機嫌が良いとまで言われている。

 八左ヱ門は小平太が小太郎を探す手伝いをしてくれていた(一番の原因は小平太だが)ので、小平太が現れても驚きはしなかったが、長次も一緒というところに八左ヱ門は首を傾げた。

「長次が手伝うと言ってくれたのでな! 一緒に探してもらっていたのだ!」
「竹谷……小平太が手間を掛けさせたようだな、すまない」

 長次は聞き取れるかどうかという静かな声で、一つ下の下級生に謝罪した。
 先程まで不機嫌そうだった長次は今度は面目ない、とばかりに眉を顰めた。

「へぇっ!? いやっそんな中在家先輩が謝ることなんかじゃありませんって! それよりこっちこそすみません、手伝っていただいてありがとうございました。」

 長次は構わない、と緩く首を振った。六年間もともにいれば、慣れるということなのだろうか。長次は全く気にした様子も無く、寧ろ八左ヱ門を気遣いの眼差しを向ける。
 何時も下級生を引っ張る立場だからだろうか、八左ヱ門は先輩からの眼差しがどうにも面映ゆく感じ、赤くなっているだろう顔を誤魔化すように話題を逸らした。

「そういえばっ、七松先輩どうして小太郎が見つかったと思ったんですか?」
「ん? あぁ簡単なことだ! お前の呼笛の音が聞こえてな、そんな気がした!」
「呼笛が聞こえたって…先輩どんな耳してるんですか…?」

 そう、先程太郎を静めたのは八左ヱ門が持つ呼笛だ。人には聞こえない音域を出す特別な呼笛。とても高い音域のため、普通は聞こえないものだ。

「まぁ細かい事は気にするな! 聞こえたものは聞こえたんだ。それでいいじゃないか!」

 八左ヱ門の背中を遠慮なく叩き、声を上げて笑う。

「げふっ、ちょ、いた、いたいですって!」

 八左ヱ門はそのまま張っ倒されそうな衝撃に蹈鞴を踏んだ。
 長次はそんな後輩を哀れに思ったのか、ぼそりと何かを呟いた。それは八左ヱ門には聞こえなかったが、小平太には聞こえたらしい。
 おぉすまん、とへらりと笑い漸く解放された。

「くぅ~! もうちょっと手加減してくださいよ」
「む、竹谷。このぐらいで泣き言とは情けないぞ! よし、それじゃ鍛錬しよう!」
「はっ? ちょ、はな、ちょっとぉおおぉおおぉお!?」

 小平太は拳を振り上げて行くぞ!と八左ヱ門を捕まえると、ちょーじ!行ってくる! いけいけどんどーん! とあっという間に走りだしてしまった。八左ヱ門は咄嗟に持っていた縄を放すと長次に向かって小太郎お願いします!それと孫兵に小太郎見つかったって言っといてください! と最後は殆ど聞こえなくなっていたが、そのまま連れ去られてしまった。

「任せておけ」

 八左ヱ門に聞こえることはないだろうがぼそり、と呟くと、長次は投げ出された縄を持つと小太郎に言い聞かせ、小さな耳を揉むように撫でてやる。突然主人を連れ去られ、固まっていた小太郎も心地良い手触りに落ち着きを取り戻し、体躯を預けてきた。長次はそれに心が和むのを感じつつも、八左ヱ門を心配したが、まぁ恐らく大丈夫だろうと気にしないことにした。
 それよりも、ごろりと寝っ転がった小太郎のまだ淡い色が混じる肉球の感触を楽しむ。

「もう、少し……」

 肉球の誘惑には、勝てなかったらしい。
 小太郎が帰るのも、孫兵に伝えるのも暫く後になりそうだ。



 そんな初夏のことだった。










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初の忍たまSS。
こへと長次とハチが好きすぎる。こへちょとこへ竹が好きです。

呼笛と呼称しているものは犬笛をイメージしていただければ。
室町時代にはまだ犬笛は出来ていませんので、ハチが独自に作ったものだと思ってください;
ちなみに犬笛は最高で22000Hzの高音が出せます。
人の可聴限界は大凡20000Hz。犬等は65000Hz。
しかし、高音域の音は障害物や高低差に弱く、離れれば離れるほど聞こえません。
自分で書いておきながら何ですが、それが聞こえたという小平太の耳って一体どうなってるんでしょうね。
でも小平太なら本当に聞こえそうな気がする。

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