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Posted by - 2024.05.03,Fri
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Posted by 月 - 2010.06.27,Sun
ついったでお世話になっている鮪さんが描いたイラに触発されて書きました。
その絵がコチラ!
ジャージ光&蛇ハァハァ! 鮪さんの描く隊長は逞しい…蛇の意地悪そうな顔堪らん!

初の半擬人化。
普通に食べるし寝るし排泄するけど半機械。(それっぽい描写欠片も出ないけど!)
メットジャージ、普通に学校通ってる。

それでもよろしい方は以下、続きを読むより











  ある高校の、ある生徒たちの話。
  季節は夏、空は快晴なり。ただいま逃走中。





【真夏にメットジャージなんて熱いに決まってる!】





  真夏の太陽が照りつける校舎は、物凄く暑い。校長室、教員室、保健室を除いてエアコン、扇風機一台としてないこの環境は、なんの耐久レースだと問いたくなるぐらいだ。

  そんな校舎の中を、走り抜けるふたつの影があった。
  影のひとつは、長身のがっちりとした体格。青いジャージを纏い、その下には派手なピンクのシャツ。目にも鮮やかな組み合わせは中々愛嬌があったが、精悍な、厳つい顔と相俟ってどこかチンピラのような印象を与えた。半透明のヘルメットが特徴的な、青い男―フラッシュ。
  もうひとつ、フラッシュの横に並ぶ影は、フラッシュより頭一つ分小さいが、それでもまだ長身の部類に入る体格。引き締まった身体は鞭のようだが、どこかひょろひょろとした印象が付き纏う。身に纏う黄色いシャツと赤いジャージはだぶだぶと身に余り、余計にその印象が強く感じられた。ズボンの裾を踝まで捲り上げたその足は、見た目通り骨っぽい。蛇を模したヘルメットを被った緑の男―スネーク。

「先輩ーいつまで逃げるんですかー?」
「そりゃ逃げ切れるまでだろ。さっさと走れスネーク!」

  ふたりは軽口を叩きながらも、互いに争うように抜きつ抜かれつつ、猛烈な勢いで廊下を走り抜ける。
  だがふたりは別に競争をしていたわけでも、ましてや追いかけっこをしているわけでもない。いや、対象が互いではない、というだけで、追われていることに変わりはないのだが。

  では、誰に追われているのかと言えば―ほら、来た。

「待たんかお前らーーー!」
「げっ、エアー!」

  早速後ろから威勢の良い怒声が飛んでくる。ふたりの後ろを追いかけてくるのは、フラッシュの兄であり、この学校の先生でもあるエアーだ。

「学校では先生を付けんか! お前ら俺から逃げきれるなど思うなよ!」
「おーおー相変わらず熱血ですねぇ先輩のお兄様は!」

  追ってくるエアーに聞こえるように、スネークは声を張り上げて揶揄し、フラッシュも合わせてやれやれ、と一度首を振って同意を示すと、スネークへと首を差し向けた。

「スネーク。ここは後輩として、敬愛する先輩を逃がすべきじゃないか? さぁ行って来い」
「やだなぁ先輩こそ。ここは可愛い後輩を逃がしてこそでしょう。誰が行くか」

  フラッシュが何でもないことのように、さらりと犠牲になれと言ってのければ、スネークも軽い調子で拒否する。ふたりの間に一瞬だけピシリと空間が張り詰めるような音が聞こえた気がした。
  だが、その間にもじわじわと距離を詰めてくるエアーに気が付くと、ふたりは何事もなかったかのように再び逃げの体制に入る。

  一体何処から来るのか、エアーは体格に似合わずかなりの俊足だ。フラッシュの二つ上の兄じゃあるまいし。このままただ逃げるだけでは捕まるのも時間の問題だろう。
  スネークはそう考えると、一瞬フラッシュの方をチラリと見やり躊躇ったが、エアーに捕まった後のことを考えてあっさりと躊躇を捨てた。身軽に窓枠へと足を掛けてフラッシュへと向き直ると、すちゃ、とふざけた敬礼して言い放った。

「先輩、頑張ってくださいね! お先ぃ!」

  敬礼のポーズとともに、なんともあっさりとその身体は窓の外へと消える。フラッシュは蹈鞴を踏んで、スネークを追うように窓へと駆け寄るが、仮にもここは三階だ。フラッシュにはこの高さから飛び降りるなどという芸当はできない。忌々しそうにギリギリと窓枠引っ掴みながら、落ちていくスネークへ野次を飛ばした。

「てめぇ俺を生贄にする気か! ざっけんな!」
「持てる身体能力を活かしてるだけです! なんだったら先輩も来たらいいんですー!」

  スネークは膝を曲げて衝撃を和らげると危なげなく地面へと降り立つ。三階から飛び降りたとは思えない身軽さに、フラッシュも一瞬だけ驚きと、賞賛の感情を抱いた。
 
「へっへー♪ んじゃ頑張ってくださーーーい!」

  地面へと降り立ったスネークは両足に問題無いことを確認すると、フラッシュに向けてにっかりとした笑みを向けて、素早くその場を離れて行った…が、しかし

「はい、捕まえた」
「へ? い゛だぁ!?」

  静かな声とともに、意気揚々と逃げようとしたスネークの上襟が引っ張られた。聞き覚えのある声。穏やかな声色なのに、その手は上襟どころかその下のシャツ、果ては皮膚まで掴まれて、物凄く痛い。

「やぁスネーク、待ってたよ」

  マスク越しでも分かるほどに微笑んでいるのは、エアーと同じく、フラッシュの兄であり、先生であるメタルだ。笑顔であるにも関わらず、その笑顔はどこか薄ら寒い。
  ギリギリと締め上げられる首と身の毛もよだつような恐ろしい笑みに、スネークはだらだらと汗が浮き出てくるのがわかった。
  蛇に睨まれた蛙状態…自分こそが蛇であるというのに、なんと言う様であろうか。

「へっ、ざまぁみろ!」
「お前もな」

  捕まったスネークに、フラッシュはざまぁみやがれ、と野次を飛ばしていると、後ろから威厳のある声とともにガシッ、と両肩がホールドされた。勿論、後ろから着実に迫っていたエアーだ。

「…げぇーー……」

  フラッシュはげんなり、と呻く様に声を上げると、大人しく両手を挙げて、無抵抗のサインをする。もうふたりとも捕まってしまえばお仕舞いだ。元より逃げ切れるとは思っていなかったが、やはり捕まってしまえば落胆する。この後のことを思えば更に。

「さぁ」
「お前ら」
「「お仕置きの時間だ」」

  真夏の空に野太い悲鳴が聞こえたとかなんとか…



*



「あ゛づぅーーー…」

  疲れ切った身体を引き摺り、フラッシュは無言で、スネークはダルそうに呻いて、身体をだるん、と横たえた。日陰の地面はひんやりと冷たくて気持ち良かったが、何分気温が高過ぎる上に、散々走り回った末のお仕置きと言う名の強制労働(体育館倉庫の片付けだとか草むしりだとか)の所為で熱は最高潮に上がっている。地面はすぐに熱を吸収して熱を孕み、纏わり付くような空気は更に気を滅入らせた。

  スネークがゴロゴロと転がる度に土がジャージに付くが、そんなことに構ってられないと涼を求めて無造作に転がる。熱い熱いと、ダルそうに呟く声は惰性に過ぎない。

  そしてフラッシュも無言の内でスネークに同意した。汗で貼り付くシャツの感触が気持ち悪くなり、首元を摘んでパタパタと引っ張った。シャツの中の熱気が薄れるが、それも一瞬のことだ。新たに送り込まる空気も熱気を帯びているため、涼を得られるわけではない。不快感に顔を顰め、ついでにスネークへ熱さでダレながらも無造作に文句を垂れる。

「てめぇの所為で捕まったんだぞバァーカ。暑い言うな余計に暑くなるわ緑虫」
「俺の所為なんかじゃありませんーつか誰が緑虫ですかピンクパンサー…」
「意味の分からんこと言うな」
「せんぱいこそー…」

  熱さと疲れでダレながらも言葉の応酬は止まない。だがその内容は傍から聞いても頭が回っていないと分かる、まるで意味の分からないものになっていた。

「「…あ゛づぅーーー…」」

  ふたりは意味のない応酬に疲れ、互いに無言になる。いくら言い合ったところで、疲れが取れるわけでもなければ、すぐに熱が冷めるわけでもない。疲れた溜息を吐き出しながらふたりはぐでーっと伸びきった。

  フラッシュは寝転びながら、ヘタっているスネークを一瞥すると、視線を外して周りを見渡した。ジワジワと鳴き続ける蝉の声に、日陰の向こうに見える陰り始めた太陽。時間は17時を過ぎた頃だろうか? 日は傾き始めているが、熱は地表に溜り今もなお熱く焦がしている。この調子ならば今夜は熱帯夜だろう。
  バブルの機嫌が悪くならなければいいが。帰りにアイスでも買って行ってやるかな。それで機嫌が治るとも思わないが、何もしないよりマシだろう。あいつの機嫌の悪さは、俺が平穏に過ごせるかどうかに直結しているのだから。

「あ゛ー! もう駄目だあっつい! 水! 水浴びしたい! 水道行きましょう水道!」

  耐えらんない! とばかりに叫んだスネークは、熱さを振り払うように勢いをつけて起き上がると、フラッシュへと言い放った。

「はぁー? 勝手に行って来い。俺ぁ濡れんの嫌いなんだよ。てめぇと違って精密機械だしな」
「えー先輩の水に濡れて煌めく姿が見たかったのにぃー…綺麗だろうなぁ…光るハゲ頭…」
「ほう…?」
「あははははははっははははっ!」

  ぴきっ、と青筋を浮かべて口端を引き攣らせる。だがそれにも臆せずにスネークは快活に笑うと、フラッシュの腕を引っ掴んで無理矢理起き上がらせると、グイグイと引っ張っていった。



*



「はぁー生き返るー…」
「爺くせぇぞお前…」

  体育館のすぐ傍にある水道。そこにふたりの姿があった。
  部活の者が使う時間帯にはまだ早いため、水道まわりには誰もいない。ふたりは早速ジャージとシャツを脱ぎ捨てると、水道の横に設置されているホースを蛇口に繋いで、水を頭から被った。初めは熱で生温かった水も、時間とともに十分な冷たさを持ち、ふたりの熱を奪っていく。

  初めは面倒臭がっていたフラッシュも実際に来てしまえば、やはり熱さに辟易としていたため、スネークと同じ様に全身ずぶ濡れ状態だ。
  十分に身体が冷やされたのを感じると、フラッシュは一息ついて、水浴びを止める。シャツをタオル替わりにして水滴を吹きながら、体育館に続く階段に腰をかけた。先程まで身体にかかっていた水の余韻にぼんやりとする。汗でべったりとしていた肌も、今は水に濡れてさっぱりとしていて、生温い風も今だけは涼しさを誘う心地良い風となる。

  スネークを見れば、何やらリズムの良い鼻歌を口づさみながら未だに水浴びを楽しんでいる。最新の歌だろうか? 音楽に疎いフラッシュには分からないが、テンポの良いそれはフラッシュの耳を楽しませた。特にやることもなく暇になり、何となしに視線を逸らさずに眺め続ける。

  惜しげもなく晒されたスネークの身体は、ジャージを着ていた時とは違う印象を受ける。ひょろひょろとした感じはどこにもなく、全身を薄く覆うような筋肉は靭やかで、まるでダンサーのようだ。身動きする度に伸縮する筋肉は繊細なようにも躍動感に充ち満ちているようにも感じた。

「なんですか先輩? もしかして俺の肉体美にうっとりしちゃってますー?」

  と、フラッシュの視線に気がついたのか、スネークが恥じらう振りをして自分の胸を隠す。変にしなを作って恥じらう姿はどう見ても気持ち悪い。

「……あーはいはい、見惚れた見惚れた」
「ちょ! その目止めてくださいよ! 冗談ですってばじょーだん!」

  そんな冷たい目で見なくても…とぶつぶつ呟く姿に笑う。階段から立ち上がり、スネークが持つホースと別にあるホースに手を伸ばすときゅっ、と蛇口を捻り、未だにぶつぶつと言っているスネークの顔目がけて勢い良く水を被らせた。

「ぶへっ!」
「ぎゃははははっ」

  顔を背けていたため、真正面とはいかなかったが、それでも不意打ちを食らったスネークの顔は先程までの不貞腐れたもの違い、驚きと痛み(鼻に水が入ったんだろう)に彩られたものになった。恨めしそうに睨んでくるが、抑えられた鼻と涙目な顔を見れば可笑しさしか浮かんでこない。
  その衝動に任せるまま、フラッシュは大きく笑った。

「なァにすんですか先輩! 畜生鼻いてぇー…」

  スネークはツンとする鼻を押さえた。真正面じゃなかっただけそこまで多くは入らなかったが、鼻というものは僅かな刺激にも弱いものだ。自然と涙が浮かんでくる。
  悔しさをもってフラッシュを見れば、豪快に笑う姿が映る。その顔はいつもつるんでいる故に見慣れたものだが、その男臭い笑みにスネークはいつも惚れ惚れしてしまう。
  フラッシュはいつも尊敬と憧れの念を抱く。その豪快なくせに面倒見よい性格も、がっちりとした体型通りの割れた腹筋に厚い胸筋、低い声。どれもこれもが憧れであり、また付いて行きたいと思わせるのだ。

  まぁ、そんな風に思っていることがバレたら絶対に揶揄われると予想がつくから言わないが。

「やりましたね…うぉおりゃぁああ!!」 
「ぶわっ!? ~~~やりやがったなテメェ…」

  スネークは今の考えを忘れたように、こちらも仕返しと水を浴びせる。爆笑していたフラッシュの顔を叩く水の勢いに、さすがに驚いたようだが直ぐ様不機嫌そうな顔になる。そうすると元々精悍な顔立ちだ。矢鱈と迫力があって怖い。

「ヒィ! せ、先輩の方からやってきたんでしょうが! ちょ、待って…ふ、不公平だぁああ!」
「んなもん俺の前には無意味なんだよ! 食らいやがれ!」

  スネークは当てられたように一歩下がって言い訳をするが、フラッシュは聞く耳など持たない。青筋を浮かべてホースを構えると問答無用で攻撃してくる。
  スネークはあちこちに逃げまわり、時には同じく水を浴びせて反撃する。それは喧嘩というわけではなく、争いなどでもなく、ただ遊びを楽しむふたりの笑いが辺りを満たした。



*



  日没も近い空は橙に染まり、同じく灰色の校舎や地面、人をも染め上げる。
  辺りは部活が終わった生徒たちが帰る準備にあちらこちらを動き回り、水道も部活を終えた生徒たちに溢れたため、ふたりは退散して現在は職員室前の校庭に移動した後だ。

「ふへぇーベッチャベチャ。おー絞れる絞れる」

  濡れないように脱いだにも関わらず、あの後辺り一帯に水浸しにする程暴れまくった結果がこれだ。スネークは赤のジャージをぎゅう、と絞ればボタボタと水が垂れ、地面を濡らす。
  着ていたものは全て濡れてしまったがこの暑さだ。明日の朝には乾いていることだろう。フラッシュも同じく青のジャージを絞っている。あちらの方がサイズがでかい分、含んでいる水の量が半端ない。

「ねぇ先輩、この後どうします?」
「あーコンビニ行きてぇ。アイス食いたい」

  いいですねぇ、とスネークが同意して、帰る準備をする。と言っても、持ち物はジャージに財布だけ。鞄は常時ロッカーに置きっぱなので身軽なものだ。
  その時、またしても後ろからエアーの声がかかった。ただし、今度は甘美な誘いを持って。

「おいお前ら、ご苦労だったな。アイス食うか?」
「おー! 食べます食べます!」
「気が利くじゃんエアー」
「こら、先生を付けんか。ま、ご褒美ってやつだ」

  さんにんは楽しそうに話しながら、その姿は職員室の中へと消えていく。
 
  ある暑い夏の日。彼らの日常は続く。










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ふたりが兄機たちに追いかけられてた理由は無免許でバイク乗り回したとか煙草吸ってたとかエロ本持ってきて読んでたとかそんな理由だと考えください。正直あんま考えてないよ!

個人的な書き分けだけどロボの時は機体、人の時は身体。
数え方はひとり、ふたり、一人、二人。今回は半擬人化だったから身体とひとり、ふたりに統一してみたけど…まぁそんなことどうでもいいよね!

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